私が担当している患者さんは、女性ですが、その中でも特に産後の尾てい骨(尾骨)の痛み、妊娠中の尾てい骨(尾骨)の痛みを訴える方があまりにも多く、こちらがびっくりしてしまうことも多々あります。
尾てい骨(尾骨)の痛みの原因がわからず、痛みが習慣化してしまい「これが当たりまえなんだ」と過ごしている方も多く、痛みが消えると「えっなんで?」と驚かれる方も少なくありません。そこで今回は、尾てい骨(尾骨)の痛みの原因と自分でできる自己ケアをご紹介したいと思います。これをきっかけに少しでも救われる方も増えることを祈るばかりです。
尾てい骨(尾骨)の痛みの症状
尾てい骨(尾骨)ははお尻のしっぽの部分ですが、かなり細い骨なので容易にゆがんでしまいます。特に女性の場合は、筋肉が少なく、体は柔軟なので、色々な体勢が出来てしまいますので、男性よりも日常的な癖の影響が大きくでます。特に産後の方、妊娠中の妊婦さんは、骨盤が大きく動きますので、尾てい骨(尾骨)に多大な影響を及ぼします。以下が代表的な症状です。
寝返りを打つと尾てい骨(尾骨)がぴきっと痛む
ひどい方になると寝返りがうてず体が固まってしまっている方もいます。
動き始めに尾てい骨(尾骨)が痛む
寝て起きた瞬間にぴきっと痛みが走る人や、立つ瞬間などに痛みが発生します。
固い所に座ると尾てい骨(尾骨)が痛む
柔かい所なら大丈夫ですが、固い所に尾てい骨(尾骨)があたると痛みが発生します。
尾てい骨(尾骨)が痛くて歩けない、びっこを引く
妊娠中、産後の方に圧倒的に多く歩行困難で、階段を上るのも一苦労もしくは登れません。
尾てい骨(尾骨)を触ると痛い
以外と皆さん当たりまえのことで片づけているようですが、触ると痛いというのは異常です。
尾てい骨(尾骨)の痛みの原因
整体的に見て尾てい骨(尾骨)の痛みの原因は、妊娠、出産だけではありません。普通の20代の女性にも尾てい骨(尾骨)の痛みは発生しています。これらを考えた結果、原因は以下になります。
尻もち
西洋医学では、ほぼ無視ですが、尻もちの影響は多大にあります。尻もちをついた瞬間というのは、完全無防備であると同時にかなりの衝撃が体全体を貫きます。ひどい場合は、尾てい骨(尾骨)骨折する場合もあります。尾てい骨(尾骨)は体の中心に位置しますので、尻もち一つで体全体が大きくゆがんでしまいます。
柔かすぎるソファー、体育座り
若い女性の尾てい骨(尾骨)の痛み、妊娠中の妊婦さん、産後の方の尾てい骨(尾骨)の軽い痛みの原因の8割は柔らかすぎるソファーが原因です。柔かすぎるソファーだと体が傾いてしまいダイレクトに尾てい骨(尾骨)に体重が乗っかってしまいます。したがって、体育座りのような恰好もNGと言えます。基本的に尾てい骨(尾骨)に体重をかけてはいけません。それ程、重要な所です。
日常の癖
本当に本当に軽視されていますが、片足荷重、荷物の片方の肩ばかりにかける、足組み、姿勢の悪い座り方などが積み重なると骨格は悲鳴をあげ、そのサインとして痛みを発生させます、尾てい骨(尾骨)は骨盤部分にありますので、日常の癖の影響をとても受けやすい部分なのです。
出産、妊娠
出産前や妊娠中には何もなかったのに、産んでから痛いまたは、出産前はなにもなく妊娠した途端に尾てい骨(尾骨)が痛くなったという声をよく聞きます。妊娠、出産は骨盤が開くような準備が始まります。骨盤が徐々に開いてくると元々あった骨盤のゆがみが伴い異常な捻じれ方をしてしまい、尾てい骨(尾骨)の痛みが発生します。
尾てい骨(尾骨)骨折
尾てい骨(尾骨)の痛みは特に産後、妊娠中の妊婦さんは、自己判断で、病院で検査していないことが多いのですが、レントゲンを撮ると骨折している場合もあります。ご心配なら受診をお勧めます。
尾てい骨(尾骨)の痛みの対策
骨盤底は、骨盤隔膜(肛門挙筋、尾骨筋、梨状筋)と尿生殖隔膜によって閉鎖されている。ここが妊娠することで緩みます。緩むことで痛み等トラブルが起きます。
尾骨筋は、排尿や分娩で後ろに押され後の尾骨の位置を元に戻す役割がありますが、この働きが弱まり飛び出た尾骨が元に戻らず、仰向けに寝たり、座ったり、同じ体勢で居続けると痛くなるなどの症状が出ます。
また、梨状筋は仙骨を固定する筋肉ですが、ここが緩み仙骨がズレると尾骨などお尻の中心部辺りが痛みます。
こうした原因で痛みが出ますので、骨盤底筋群や腹筋の緩みを戻し、ズレた骨を正しい位置に戻すことで痛みは良くなります。
産後の生活は、赤ちゃんのお世話が中心になりますので、同じ体勢でいることがどうしても多くなります。(授乳、抱っこ、添い乳、など)同じ体勢でいて体重や負担が一部部位にかかると痛みが出ます。そのため以下のような対策が有効です。
体勢を固定しない
こまめに体勢を変える、体を動かして張りや凝りを和らげる、血流を良くする、ことが自分でできる対策になります。
骨盤ベルトを使用
骨盤の開きの改善、予防、骨盤の安定、筋力の補助。また寝返り時に痛みを感じる場合など、かなり和らぎ寝返りができるようになることが多いです。
寝返りスペースの確保
寝返りをすることで、歪みが改善したり、体にかかる負担を分散させたりするので、寝返りができるスペースを確保して寝るようにしましょう。
赤ちゃんと同じ布団で寝ている人の場合、赤ちゃんが気になり赤ちゃん側を向いたままで、更に赤ちゃんを潰さないようにと気を張ったまま寝る人も多いです。つまり片側に体重がかかり、痛みが出やすい状態と言うことです。
しっかり睡眠をとり、体や気持ちの負担を減らし、体の循環を良くする環境を整えることも重要です。
尾てい骨(尾骨)の痛みを改善する自己ケア
尾てい骨(尾骨)の痛みがある方は、何とかしたいけどどうしたらいいかわからない。という方が数多くいらっしゃいます。ここでは、尾てい骨(尾骨)の痛みを改善できる自己ケアをご紹介致します。
骨盤底筋群を戻す
トイレ中に尿を止めるときにキュッとする位置を、下から上にファスナーを閉めるイメージで力を入れて、キープします。
その時、下腹にも力を入れると腹筋にも効果があります。
背中や肩まわりのストレッチ
タオルを使ったタオル体操やヨガのポーズなどは効果があります。継続することが大事です。
出産に関係なく痛む尾骨の場合の自己ケア
事故、怪我などで変形やひび、骨折しているか、まずはレントゲンで骨の状態を確認することも大切です。(激しく尻もちをついた場合も要注意!)
それ以外ですと、仕事などで長時間座りっぱなしの人、立ち仕事の人、肩こりや背中の張りが強くずっと続いている人も筋肉の疲労で痛むことがあります。もちろん、骨盤の歪みが痛みの原因になることも。
こういった症状の方は、お尻の筋肉を鍛えることやストレッチで歪み解消と尾骨の痛みを改善することができます。
お尻の筋肉を鍛える
尾骨周り(お尻)の筋肉を鍛えることで、骨の歪みを予防できます。
ストレッチ
仰向けに寝て、腰の辺りにバスタオルを丸めて入れて、両腕を上に上げる。(バンザイのように)
起き上がれない、動けない程の尾てい骨(尾骨)の痛みの自己ケア
超深呼吸法
人間の体は、息を吐くときは緩み、息を吸うときは、緊張します。その特性を利用します。あなたが、一番楽な体勢を取ってください。
1.大きく息を吸う。(腹式呼吸、胸式呼吸などの意識は一切しない)
2.吸いきったらそこからさらにもう一息頑張って息を吸おうとする
3.一気に息を吐き出す
これで、一気に肋骨、背中周りの筋肉が緩みある程度骨格のゆがみも解消されます。楽な体勢で行い数回やったら少しずつ体勢を変えて行ってみましょう。徐々に動ける範囲が広がっていくはずです。尾てい骨(尾骨)に痛みがでるようであれば無理せず出来る範囲で行ってください。
痛くない場所をとにかく動かす
痛みが尾てい骨(尾骨)だけなのですが、その影響で体全体が固まってしまいます。こうなると人間に重要な循環器系である血流、リンパの流れが滞りますので、治りが遅くなります。更に、動かさないことで、骨格筋が動かないので、骨格のゆがみが矯正される機会も失われる悪循環に陥ってしまいます。
動かせる所はモゾモゾ動かしてください。もちろん痛みがでるようであれば、痛みが出ない範囲で行ってください。
寝て起きれない方は、まず超深呼吸法を試し、少し動けるようになったら、体をモゾモゾ動かしてください。少しずつ体が起き上がれるまでになるはずです。
尾てい骨(尾骨)の痛みの症例
産後2週間(お二人目)
仰向けに寝ていると尾骨辺りがじわ~と痛くなり、次第に足の付け根も痛み出す。立ったまましばらくいてもだんだん同じような感じになってくる。
→骨盤の開きを整える
→痛みの出る体勢を確認しながら筋肉バランスを整える
→骨盤ベルトを正しく使用する
骨盤は10センチほど締まり、仰向けに寝ても痛みは出なくなった。
足の付け根の痛みも、動作確認で痛みの出ないことを確認。
産後1カ月(お一人目)
尾骨の痛みで、寝ることができない。
座るときもお尻を椅子から少し浮かせる感じにしないとできない。
授乳も立ったまますることが多い。
→寝転ぶ事ができないので、立ったまま施術。寝転ぶことができるようになってから一番楽な姿勢(横向き)で施術。(骨盤の歪み調整)
→椅子に座るときに、バスタオルを折り畳んでお尻の下に敷き少し傾斜を作って座るようにすると痛みがかなり軽減。力を抜いて座ることができる
→骨盤ベルトを正しく使用する
寝る、座る、といった基本的な体勢に楽になれるようになり、体中への負担が減った。
飛び出た尾骨を調整し、痛み軽減。
産後半年(お一人目)
出産関係なく、8年くらい前から尾骨に痛みあり。出産後ますますひどくなった。寝返りなど体勢を変えるときに激痛。同じ体勢でいると痛い。
立ち上がるときなども痛い。
レントゲンでは異常なし。
→尾骨の痛みを長年かばっていた影響か、背骨や骨盤の歪みが強い。(全身調整)
→慢性的な寝不足で首肩もガチガチ。
触ると痛みが出るのでソフトに整体。
→寝返りなど体位変換が可能になる。
→骨盤ベルトをすると痛みが出るので
痛みが出ず、気持ちいいと感じる付け方をお伝えすると、体が動きやすくなる
産後2週間(お二人目)
尾骨が痛くて階段が上がれない。
靴下を履いたりする姿勢(前屈み)ができない。
→尾骨の歪み調整で、その場で出来なかった姿勢や階段もスムーズにできるようになった。
→筋力がかなり落ちているため、また歪む可能性がある。“ながら”でできるエクササイズとベルトで予防。
パソコン一日8時間以上(仕事)
自宅でのパソコン業務、一日8~10時間。足組み、前屈み、頬づえなど姿勢が悪いとのこと。尾骨が当たる感じがあり痛い。
→姿勢改善の全身調整。尾骨と腰痛改善。
→パソコンの台(テーブル)の高さが合っていないため姿勢が崩れやすい。タオルを使って高さ調整。
→合間にできるストレッチで予防。
院長・森の想い
原因がわからない痛みというのは、周りが思っている以上に本人が本当に辛いものです。なんたってその痛みは、共有できないからです。周りの理解を得られないで「怠け病」だなどと決めつけられ影で涙している方をたくさん知っています。
尾てい骨(尾骨)の痛みは必ず改善できます。ご安心ください。だから今思い悩むのは一旦中止にしましょう。そして、今回ご紹介したセルフ整体をお試しください。もし、何かご不明な点や、ご不安な点があれば、いつでもご連絡ください。誠心誠意対応させて頂きます。
今すぐ整体をやってほしい!という方も遠慮なさらずいつでもご連絡ください。少しでもお役に立てたら幸いに存じます。
現在非常にご予約が取りづらい状態となりご迷惑おかけしております。なるべくお早めのご予約だとご希望日が取れやすいです。